請負契約について

<建設工事の請負契約>

「請負」とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約であるとされています(民法第632条)。
この「請負」と類似の概念としては、「雇用」や「委任」があります。
「雇用」は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対して報酬を支払うことを約する契約であり、仕事の完成の危険を負担するものではありません(民法第623条)。
「委任」は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託する契約であって、仕事の完成を内容とする「請負」とは異なり、仕事の完成がなくても履行の割合に応じて報酬を請求することができるものとされています(民法第643条)。
ところで、現実に締結される契約は、建設工事の完成を目的とするものであっても、必ずしも「請負」という名義を用いていない場合もあることから、建設業法では、脱法行為を防ぐ目的で、「委託」「雇用」「委任」その他のいかなる名義を用いるものであろうと、実質的に報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は全て「建設工事の請負契約」とみなしてこの法律を適用することとしています(建設業法第24条)。
売買契約と請負契約の混合契約と考えられる、いわゆる製作物供給契約により建設工事の完成を約する場合も建設工事の請負契約に該当すると解釈されています。

<単価契約>

単価契約の場合も、実質的に建設工事の完成を目的として締結されているものであれば、建設業法第24条の規定により建設工事の請負契約とみなされます。
生コン輸送業者に型枠へのコンクリート圧送や打設を含んだ業務の契約をするような場合も、建設工事の請負契約に該当します。
したがって、コンクリートポンプ打設で日々の実績による単価契約とする場合も、1件の工事に係る全体の量をまとめて1つの契約とする場合も、建設工事の請負契約であることに変わりがありません。
また、主任技術者等の設置や施工体制台帳の記載などについてもその対象となります。
なお、単価契約の場合において、建設業の許可を必要としない「軽微な建設工事」に該当するかどうかは、全体の請負金額で判断されることに注意が必要です。

<リース契約・委託契約>

建設機械のオペレーター付リース契約

建設機械のリース契約でも、オペレーターが行う行為は建設工事の完成を目的とした行為と考えられ、建設工事の請負契約に該当します。
また、この場合のオペレーターが労働者派遣法で禁止されている建設業務への労働者派遣に該当する可能性があるため、建設業法に基づく請負契約を締結することが必要です。

既存の電気設備・消防施設等の保守点検工事

建設工事の目的物として作られた設備に対して、機能の維持を目的とした作業が行われることがありますが、このうち、設備の機能を向上させたり、劣化した設備の機能を回復させるものであれば、作業の内容が軽微なものであっても、一般的には建設工事に該当します。
一方、設備の動作状態や劣化の程度を調査したり、消耗品等の予防交換、清掃といった作業であれば足場やクレーンを使用したとしても、一般的には建設工事には該当しません。

建設工事に該当しない業務


※建設工事に該当するかどうかは、発注者との契約内容、作業の内容により判断されるため、事前に行政庁に確認することが望まれます。

<労働契約>

単なる労務提供であれば、建設業法第24条は適用されず、建設工事の請負契約には当たらないと考えられますが、それにより建設工事の完成を請け負わせる場合は、建設工事の請負契約に当たるため、注意が必要です。
「労働者派遣」については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」第2条第1号において「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること・・・」と規定されています。
また、同法第4条第1項においては、これを業として行う「労働者派遣事業」について禁止される業務が定められており、当該禁止対象業務として、同項第2号で「建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)」が掲げられています。
したがって、建設工事現場への労務の提供を建設工事の請負契約で行わない場合は、労働者派遣法違反のおそれがあります。
ただし、平成17年7月に改正された「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」第15条第2項の規定により、厚生労働大臣から「雇用管理の改善と労働力の受注調整を一体的に実施するための計画」(実施計画)の認定を受けた事業者団体の構成員である建設業者が認定を受けた実施計画に従って行う「建設労働者就業機会確保事業」については、自己の雇用する常用労働者を認定を受けた事業者団体の構成員である他の建設業者に一時的に送り出すことができることとなりました。

<請負契約に関するお役立ち情報>


元請と下請
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見積条件の明確化
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変更契約
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下請代金の支払等
不当に低い請負代金の禁止
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