指値発注の禁止
下請代金の額の交渉において、元請負人が自らの希望額を下請負人に提示(指値)することは契約交渉過程において通常行われうる行為であり、直ちに建設業法上の問題となることはありません。
しかしながら、下請代金の額の交渉に際し、元請負人が、下請負人と十分な協議をしないことや、下請負人の協議に応じることなく、今後の取引の不利益を示唆するなどして、強制的に元請負人が指値した額での契約を締結させる行為については、建設業法上違反となるおそれがあります。
<建設業法上違反となるおそれがある行為事例>
- ①元請負人が自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、一方的に下請代金の額を決定し、その額で下請契約を締結した場合
- ②元請負人が合理的根拠がないのにもかかわらず、下請負人による見積額を著しく下回る額で下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合
- ③元請負人が下請負人に対して、複数の下請負人から提出された見積金額のうち最も低い額を一方的に下請代金の額として決定し、その額で下請契約を締結した場合
<建設業法上違反となる行為事例>
- ④元請下請間で請負代金の額に関する合意が得られていない段階で、下請負人に工事を着手させ、工事の施工途中または工事終了後に元請負人が下請負人との協議に応じることなく、下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合
- ⑤元請負人が、下請負人が見積もりを行うための期間を設けることなく、自らの予算額を下請負人に提示し、下請契約締結の判断をその場で行わせ、その額で下請契約を締結した場合