下請代金の支払等
下請代金支払遅延等防止法では、役務提供であっても建設工事の請負については同法の適用が除外されています(同法第2条第4項)。
一方、建設業法では建設工事の下請契約について、次のような規定を置いて下請負人の保護を図っています。
- 建設業法第19条の3(不当に低い下請代金の禁止等)
- 元請負人は、その取引上の地位を不当に利用して、下請負人に対して、通常必要と認められる原価に満たない額で請け負わせてはなりません。正当な理由がなく、契約締結後に代金を減額することも禁止されています。
- 建設業法第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)
- 元請負人は、その取引上の地位を不当に利用して、契約締結後に、下請負人に対して、使用する資材、機械器具等やその購入先を指定して、下請負人の利益を害してはなりません。
- 建設業法第24条の3第1項(下請代金の支払い)
- 元請負人は、注文者から出来形部分に対する支払いや完成後の支払いを受けたときは、支払い対象となった工事を施工した下請負人に対して、相応する下請け代金を一ヶ月以内に、かつ、できるだけ早く支払わなければなりません。
- 建設業法第24条の4(完成検査及び引渡し)
- 元請負人は、下請負人から完成通知を受けた日から20日以内に、かつ、できるだけ早く工事完成検査を完了しなければなりません。
完成確認後は、原則として、下請負人が申し出れば直ちに目的物の引渡しを受けなければなりません。
- 建設業法第24条の5第3項(特定建設業者の下請代金の支払方法)
- 特定建設業者が元請負人であり、下請負人が特定建設業者や資本金4000万円以上の会社でないときには、下請代金の支払いを一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形で行ってはなりません。
- 建設業法第24条の5第4項(特定建設業者の下請代金の支払期日等)
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特定建設業者が元請人であり、下請負人が特定建設業者や資本金4000万円以上の会社でないときには、注文者から支払いを受けたか否かに関わらず、工事完成確認後、下請負人から目的物の引渡しの申し出があれば、原則として、その日から50日以内に下請代金を支払わなければなりません。支払いが遅れた部分については、遅延利息の支払いが必要になります。
まとめ
- ・元請が取引上の地位を利用して、原価未満で請け負わせるのは建設業法上違反となるおそれがあります。
- ・注文者から元請代金をもらってから1か月以内に下請代金を支払わないのは、建設業法、独禁法上、問題となります。
- ・下請工事が完成しても20日以内に完成確認をしなかったり、受取りを拒否するのは建設業法、独禁法上、問題となります。
- ・下請負人から工事目的物の引渡しの申し出があってから50日以内に特定建設業者が下請代金を支払わないと建設業法、独禁法上、問題となります。
- ・特定建設業者が下請代金を割引困難な手形で支払うのは建設業法、独禁法上問題となります。