やり直し工事
元請負人は下請工事の施工に関し下請負人と十分な協議を行い、また、明確な施工指示を行うなど、下請工事のやり直し(手戻り)が発生しない施工に努めることはもちろんですが、やむを得ず、下請工事の施工後に、元請負人が下請負人に対して工事のやり直しを依頼する場合もあり得ます。
しかしながら、このような場合において、やり直し工事に係る費用を元請負人が不当に下請負人に負担させた場合には、下請負人を経済的に不当に圧迫することとなるため、下請負人の責めに帰すべき理由がある場合を除いては、当該やり直し工事に必要な費用は元請負人が負担する必要があることとしているのです。
<下請負人の責めに帰すべき理由がある場合とは>
下請負人の責めに帰すべき理由があるとして、元請負人が費用を全く負担することなく、下請負人に対して工事のやり直しを求めることができるのは、
下請負人の施工が契約書に明示された内容と異なる場合又は下請負人の施工に瑕疵等ある場合に限られます。
また、次の①、②の場合には、元請負人が費用の全額を負担することなく、下請負人の施工が契約書と異なること又は瑕疵等があることを理由としてやり直しを要請することは認められません。
- ①下請負人から施工内容等を明確にするよう求めがあったにもかかわらず、元請負人が正当な理由なく施工内容等を明確にせず、下請負人に継続して作業を行わせ、その後、下請工事の内容が契約内容と異なるものとする場合
- ②施工内容について下請負人が確認を求め、元請負人が了承した内容に基づき下請負人が施工したにもかかわらず、下請工事の内容が契約内容と異なる場合
<下請負人の責めに帰さないやり直し工事を下請負人に依頼する場合は、変更契約が必要>
下請負人の責めに帰すべき理由がないのに、下請工事の施工後に、元請負人が下請負人に対して工事のやり直しを依頼する場合にあっては、元請負人は速やかに当該工事に必要となる費用について元請下請間で十分に協議した上で、契約変更を行う必要があります。